ブランド紹介

by koransha

香蘭社のロゴ


※ページ下部へ進みます。

現代のライフスタイルに寄り添う「日々の暮らしのうつわ」
佐賀県有田の地に日本初の磁器が誕生して400年。合名会社「香蘭社」を設立して140年余り。
伝統の技と美を継承し発展させてきた香蘭社から生まれた新ブランド「by koransha」は「現代のライフスタイルに寄り添い、“日々の生活”に楽しさと華やかさを与える暮らしのうつわのブランド」

香蘭社 取材記

日本有数の陶磁器の産地、佐賀県有田。
日本で初めて磁器を製造した有田の陶磁器は、その高い品質と美しい色絵によって、古くから国内外で愛されてきました。

その有田焼の中でも名窯として知られるのが、今回ご紹介する香蘭社。
創業はおよそ300年以上前の元禄時代。そして、日本が開国した明治時代には、世界各国の万国博覧会で数々の賞を受賞し、国内では宮内省御用達の品として重宝されてきたといいます。

そんな香蘭社が2021年からスタートした新ブランドが「by koransha」です。

by koranshaのマグカップ

 「これが本当に有田焼?そもそも磁器なの?」と、驚いた方もいるのではないでしょうか。
一見すると、ティータイムに自然に馴染むシンプルなマグカップ。しかし、よく見ると有田焼を想起させる唐草文様があしらわれています。なにより目を引くのが、向こう側が透き通った美しい白。
洗練されたデザインを物に落とし込めるのは、香蘭社の技術があるからこそ。

ハレの日を彩る食器から、ライフスタイルに寄り添う食器へ。
今回の取材記では、有田焼の新しい価値を提案する香蘭社のものづくりを紹介します。

有田焼と香蘭社の歴史と特徴

有田焼の発祥は1616年。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本にやってきた陶工・李参平によって、磁器の原料である陶石の鉱床が発見されたことが始まりとされます。
良質かつ大量の陶石が採れるこの「泉山磁石場」は、その後数百年に渡って有田の磁器作りを支えることになりました。
また、良質な原料の産地であるだけでなく、有田の街は磁器作りに適した様々な要素が揃っていることが分かりました。
例えば、窯の燃料となる薪。陶磁器を作るための窯に使う薪には、高い火力が求められるため、樹脂が多い赤松が好まれます。当時の有田には、その赤松の豊富な自生地があったそうです。
それだけではなく、坂や川の多い有田の地形は、登り窯と呼ばれる斜面を活用した窯の建設や、水車を用いた臼による原料の加工工程にも最適だったと言います。

原料、燃料、地形。これらの相乗効果によって、有田は日本で初となる磁器の大量生産に成功し、現代まで受け継がれる一大産地となりました。

香蘭社のはじまり

元禄時代に有田で陶磁器製造を始めた深川家の祖・又四郎(初代深川栄左衛門)にルーツをもつ香蘭社。現在の形になったのは、明治維新の頃。八代目の深川栄左衛門が設立。様々な先進的な取り組みを行いました。
そのひとつが、通信網に用いる絶縁器具「碍子」の製造です。電信網の普及が急務であった当時の政府は、国産の碍子の開発を深川栄左衛門に依頼。この開発によって、通信網の発展に伴うニーズを掴むことに成功しました。
また、有田焼の更なる発展のため、万国博覧会への出品を計画。この出品の成功のために複数の窯元と共に設立された組織が合本組織香蘭社でした。
工業製品としての碍子の製造と、万国博覧会で数々の賞を受賞した美術品としての有田焼。
この両面の成功を実現した深川栄左衛門の先見の明によって、今の香蘭社が生まれました。

香蘭社の製造現場

ここからは、香蘭社の実際の製造現場を見せていただきました。

香蘭社の工場の外観

とても広い工場!香蘭社では、原料以外のほぼ全ての工程を自社でおこなっており、こちらの工場では約50名ほどの方が働いてらっしゃいます。
1階が磁器を成型する工場になっており、2階では絵付けを行っています。
まず初めに、1階で有田焼の作り方について教えていただきました。

効率とこだわりを両立した成型

有田焼の歴史でも見てきたように、磁器の原料は土ではなく陶石と呼ばれる石。現代では、熊本県の天草で取れた天草陶石を砕いた物を原料としています。

原料となる天草陶石

この原料そのものは、業者から仕入れているものですが、実はこの段階から香蘭社独自のこだわりが発揮されています。
「香蘭社では、業者から陶土の先行サンプルを受け取り、自社の研究室で工業製品レベルの成分分析をします。そうして確認した上で、問題が無かったものだけを入荷しています」

香蘭社では現在でも工業用の碍子を製造しているため、碍子の研究室があるとのこと。そうした工業製品のノウハウを応用し、磁器に用いる釉薬も原料にあったものを研究開発しています。こうしてこだわった原料によって製造の精度も増すため、薄い磁器を作ることもできるのだとか。

そうした厳選した原料を磁器の形に成型していきます。

「有田焼の成型方法は二種類。ひとつは土をろくろで回して整えるろくろ成型。もうひとつは土をどろどろにした泥漿(でいしょう)を石膏型に流し込む鋳込み成型です」

磁器を成型する圧力鋳込みに使う型

「これが焼き物の型になります。この型と同じものを何重にも積み上げて、穴の部分に泥を圧力で流し込んで成型します。圧力鋳込み製法という方法になります」

圧力鋳込みで出来上がった皿

こちらが、圧力鋳込み製法でできあがったお皿です。
ろくろ製法では作れない複雑な形状のお皿を作れるのが、圧力鋳込み製法のメリットなんだとか。

また、泥漿を使った製法はもうひとつあります。それがこちら。

石膏型にたまった泥を、ポリバケツに捨てている・・・?。私たちがイメージする磁器作りとはちょっと違いますね。

「こちらは排泥鋳込みという製法です。石膏型に泥漿を流し込むと、石膏が泥漿の水分を吸収して、泥が外側から固くなっていくんです。外側がちょうどいい厚さになったら、残った泥漿を排泥します。排泥した泥漿は、ふるいで濾して再利用します。中が空洞になったものを作るのに向いた製法です」

こうして出来上がったものを、窯に入れて焼いていくと思いきや、ここから更に人の手を加えていきます。

磁器を微調整する作業

ろくろの上で形を調整し、

磁器を微調整する水拭き

水拭きという処理を施します。水を使って、表面を慣らすことで磁器らしい柔らかい曲線や触り心地を作っています。

香蘭社では、製造現場の各所に機械を導入していますが、こうした人の手による仕上げはまだまだ欠かせないのだそう。
「機械を導入してたくさん作ってると思われがちですが、意外と人の手がかかっています。機械化をすると、機械にできることとできないことが生まれます。そうすると、できないことを止めたくなるのですが、そこでしっかり人の手を使うことで品質、最後のこだわりのところで差別化できるのだと思います」

機械化の例では、先ほどの圧力鋳込みの型を作る工程があります。
圧力鋳込みで焼き物を作るには、焼き物の型もたくさん必要になります。香蘭社では、この「型を製造するための型」も自社製造しています。

磁器の型を作るための石膏型

この型を作るには、デザイン図面から焼き物の模型(原型と呼ばれます)を作る石膏職人の技術が必要不可欠でした。ところが、そうした職人さんは産地でも年々減少しており、香蘭社でも現在ではCADとNCスライス旋盤を使った製法に切り替えたそうです。

「職人の手で作っていた頃は、原型に微調整を加えようとすると再度作り直しが必要でした。CADの場合は図面のデータに調整を加えればいいので、デザインの試行錯誤に使う時間がずいぶん効率化されたんです」

機械による効率化と人にしかできない作業の両立。
こだわりを大切しながらも、多くの方に製品を届けるための工夫を感じます。

素焼きし、絵付けする工程

成型したばかりの生地は、とても脆い状態。水にも弱く、そのままでは絵を描いたり釉薬をかけることができません。
この状態から、まず900度ほどの窯で素焼きし、ビスケットほどの固さに仕上げた上で次の工程に入ります。

磁器に釉薬を塗る作業

写真の手前の桶が釉薬で、その奥が水です。この釉薬に熱が加わることで、陶磁器のガラス質が形成されます。
この写真では、皿を手前の釉薬に浸したあと、水にくぐらせたあとで皿をくるりとひと回しする様子。
「釉薬をつけたあとに、滴る最後の一滴のところが分厚く固まってしまうんです。なので、釉薬が固まる前に水につけて散らすことによって、均一にムラなく塗ってるんです。」

1枚にかける時間はほんの5秒ほど。簡単そうに見えますが、この工程も熟練の技が必要なのだとか。

釉薬をかけたあと、いよいよ窯で焼き上げていきます。

1300度で磁器を焼き上げる本窯

こちらの工場には4機の窯があり、1300度の温度で焼き上げていきます。窯の外側でも、近づくと熱が感じられます。

焼き上がった磁器は、この段階で第一回目の検品が行われます。

焼き物の検品作業

「まず人の目で見て不良が無いかを確認して、それからひとつひとつ叩いて耳で確認します。ヒビが入っていると音が変わるのですぐに分かります」
実は窯の近くでは、焼き物を叩く「コンコン」という心地のよい音がずっと聞こえていました。その正体がこちらだったんですね。
こうした検査は工程のいたるところに織り込まれ、人の五感で行われています。

「焼き物の検査は、機械的なマルかバツじゃないんですよ。1回目の検査で感覚的におかしいと思ったものは、2回目3回目の検査でも違和感が生まれます。こうした感覚的な違和感に気づくことで、製品の品質が守られているんです」

2階の絵付室へ!

1階で焼き終えた磁器は、2階の絵付室で絵を施していきます。

有田焼では、素焼きの段階で絵付けを行う下絵付けと、本窯で焼いたあとに絵付けを行う上絵付けの2つの場合があります。今回は主に上絵付けの工程を見せていただきました。

まずは熟練の職人による手で施すもの。

有田焼の絵付け

ろくろを使ってひとつひとつに色を付けていきます。
「釉薬と同じで、簡単そうに見えますがとても真似できません」
とのお話。お話をしている間にもどんどん次の器を塗っていきます。

また、香蘭社では手描きの他にも次のような塗り方をしています。それがこちら。

プリント紙による有田焼の絵付け

無地の皿の上に、水に塗らしたイラストを転写しています。
「プリント紙といいまして、職人さんが手描きで使っているものとまったく同じ絵の具をシール状に印刷したものです。これを焼きつけると、余分なところが燃えて手で描いたものと同じ仕上がりになります」

プリント紙による有田焼の絵付け

型紙から外したあとは、ヘラや布などをいくつも使い分けてシワを伸ばしていきます。無地だった皿が、みるみるうちに絵付けされた鮮やかなお皿にhなっていきます。

香蘭社ではこうした転写紙も自社で生産しています。デザイナーの案をすぐに形にすることができるため、生産開発力にも直結しているのだそう。

こうして、絵付けが施された磁器は、800度ほどの窯で再度焼きつけられていきます。ものによっては、4度、5度と繰り返すことも珍しくないとのこと。
あの鮮やかな有田焼は、こうして幾度も人の手がかかっているんですね。

新ブランド by koranshaが始まった経緯

ここまで、香蘭社の歴史とその製造工程を見てきました。
焼き物作りに適した土地に芽吹いた文化を、時代の潮流に乗りながら技術を受け継いだものづくりをしてきた香蘭社。
2021年から新たに「by koransha」という新ブランドの展開が始まりました。

by koranshaのクロッシェ

絢爛な和食器としての有田焼とは一線を画した洋食器のby koransha。どういった経緯で生まれたのでしょうか。
発端は今から4年以上前。次の時代の香蘭社のあり方について社内で議論をはじめたとのこと。
そもそも香蘭社とはなんだろう。香蘭社のものづくりとはなんだろう。
議論を重ねて自社の強みを再度みつめなおし、形につくったブランドがby koranshaでした。

「140年の歴史の中で、香蘭社のブランドはハレの日の和食器として、多くの方に愛されてきました。40代以上を中心にコアなファンの方がいる一方で、洋食器に親しんだ若い方の中には、香蘭社を知らない方が多いんですね。
by koranshaでは、そうした若い方に香蘭社のものづくりに親しみを持ってもらうためのブランドになります。日々の生活の中で気に入っていただいて、いずれハレの日の和食器に興味を持っていただいたときに、香蘭社を選んでいただければと思っています」

長い歴史があるからこそ、発想の転換が大変だった、と語る専務。
普段使いの食器として、お客様のイメージやどうしたシチュエーションで使われるかについても、想像しながらデザイン・開発を進めたと言います。

そうした経緯で生まれたby koranshaには、有田焼の伝統的な技術と様々な新しい試みが詰め込まれています。

by koranshaのクロッシェの模様

冒頭で紹介した透き通ったマグカップの「クロッシェ」。
磨り硝子のような透き通った質感で全面にあしらわれた草花の凹凸模様は、釉薬を銅板転写する新技術が用いられています。

こちらの、kogane/shiroganeにも新技法が取り入れられています。

bykoranshaのkoganeとshirogane

金属製のタンブラーと見間違うようなテクスチャーは吹きつけによるもの。
昭和レトロを想起させる愛らしい絵柄は、新技法のレリーフ加工が採用されています。
ざらつきと光沢を両立した磁器とは思えない質感だけに、展示会などでも反響が大きいといいます。

「香蘭社ブランドではできなかった新しい技法に挑戦できるのはby koranshaだからこそです。それだけに生産も難しかったのですが、ようやく世の中に出すことができました」

伝統と挑戦を両立したby koransha。その中で意外なこともあったといいます。

「展示会に出したときに、バイヤーさんから製品の仕上げについてお褒めをいただくことが多かったです。縁の処理や釉薬の痕について、他社では見たことないくらい品質がいい、と。社内的には当たり前の部分でもあったので、弊社の技術水準の高さを再認識することになりました」

by koranshaのカップの底面のロゴ

香蘭社と有田焼きの目指すもの

香蘭社のショールーム

ライフスタイルの変化に加え、新型コロナの流行による観光客の減少や、磁器の名地・有田はいま、転機に立たされています。

「地方都市としての人口減少もある中で、有田焼の技術の担い手も減っています。弊社の工場を維持するためにはそれなりの人数が必要ですから、常に危機感を抱いています。新しい取り組みを模索しているのは、そうした経緯もあります」

もちろん、こうした危機感は香蘭社だけのものではありません。
有田では、香蘭社以外の窯元でも、既存の有田焼にとらわれない新しい商品が次々と誕生しているといいます。

そんな中、香蘭社と産地との関わり方はどう変わっていくのでしょうか。

伝統的建築物を示す陶器の看板

「たとえば、弊社のショールームは文化財にも指定された歴史ある建物です。商品だけでは無く、歴史や文化も含めた弊社の強みを組み合わせて、県外の方にも有田焼の魅力をもっと伝えていきたいですね。そうして地域貢献できる状態までもっていくことが、会社としての使命だと考えています」

明治維新の激動を、追い風に変えて発展を遂げた香蘭社。
時代の変化を帆に受けて未来に向かう精神は、手作業と機械化を両立する製造現場や、新しいブランドへの向き合い方にも、受け継がれているように感じました。

by koranshaという名前には、「日常によりそう」という意味が込められています。
有田焼の美しい食器とすごす日常に思いを馳せながら、お話をうかがわせていただきました。

| 製造現場ムービー |







by koranshaの商品一覧




マグカップ クロッシェ







タンブラー kogane/shirogane












ページトップへ